続.不器用恋愛
「なに、それ」
…ああ、やっちゃった。
啓吾の視線はそのままで、平坦な声に心臓かドクン、と緊張した。
「…作ってたのか?」
啓吾が視線をあたしに移してその目線に逆らえる筈なく、小さく頷く。ああ、さっさと洗っておけば良かった。…大体、啓吾が、あたしが朝食を作ってから完璧なタイミングで来てくれたらいいのに、実際は失敗した出来上がりに完璧なタイミングで起きてきたから駄目なんだ。なんて理不尽にそう思いながら。
「…あたしが食べたかったのよ、まあ…結果的には食べてないけど」
三角コーナーに捨てられた残骸に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。あたし以外に料理されたなら美味しく食べられる筈だった食材達にこころから謝りたい。
啓吾の表情は見えない。あたしが俯いているから。
呆れてる?
簡単な料理さえ作れないなんて、どんだけなんだ。思わず、「今までの彼女は料理上手だったんじゃない?ごめんね」なんて言いたくもない言葉が出て益々自分が嫌になる。