猫を追いかけて……。【短編】
何も無かった私に
予定が出来た。

あの場所へと通うことが
いつしか私の日課になった。

それは少しずつ楽しみとなり
その久しぶりの感覚を
私は戸惑いながらも
徐々に受け入れつつあった。

私は猫の彼に心を許し始めていた。

いや、もしかしたら
猫だからと
油断していただけなのかもしれない。

どうせ、
私が過去の事を話したところで
猫である彼に私の複雑な思いは
伝わる訳がない。

私は少しずつ過去を話し出した。
もちろん、と言うかやはりと言うか
猫である彼は私の昔話に
興味が有るわけでもなく
ただ、その間も
シャッターを切るだけだった。


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