今夜、君とBloodyKiss
「あ、あの!」
彼が口を開いた瞬間だった。
バンッと勢い良く扉がひらく。
「杏里ちゃーーーん!!」
ようやく杏里が先に行ってしまった事にきがついたのか、扉を開けてやって来たのは雪菜だった。
直後、紫希と雪菜のお互いの表情が歪む。
「げ、鈴原」
「うぉい!紫希!お前、杏里ちゃんになにさせとんじゃい!!」
この二人は犬猿の仲で、であった当初から相性が悪い。
美少女が見るに耐えない表情で襲ってくる寸前、そっと雪菜の背後から手が伸びがっしりと拘束する。
「おいおいー?ここはイチャつく場所じゃねーぞー?」
突然現れた少し低めの声に、杏里の声が上がった。
「爽佑さん!」
よっ!と軽く片手を上げ返事をした彼はこのサークルの会長である椎葉爽佑だった。
軽々と雪菜を抱えながら部屋へ入ってくると、その後ろから息を切らせた結が現れた。
「あ、杏ちゃん…破廉恥だよ…」
真っ赤な顔でそう言われ、今時破廉恥なんていうやつ初めて見た。と思いながら思わず手元を見ると、脱がしかけの紫希のシャツを握りしめていた。
「ご、ごめん!」
慌てて手を放すが、すでに時遅し。
紫希のシャツはシワシワになっていた。