今夜、君とBloodyKiss
チクタクと部屋に時計の秒針音が響き渡る。
BGMにと付けたテレビは、特に面白いということもなかったけど、ぼーっと見ながらたまに笑うには丁度良かった。
隣をチラリと見れば、結も同じようにテレビを見てたまに笑っている。
別に気まずいというわけでもなく、ただ、ただ静かだった。
こんなに私の部屋は静かだったろうか。
そっと時計を見れば、0時まで後30分。
夜ご飯兼、パーティーにと買ったご飯をつまみながら時間を持て余す。
突然家に行きたい。なんて結が言うから少し身構えていたが、やはり考えすぎだったようだ。
再びぬるま湯の安心感に浸かりながら、だらだらと過ごす。
ポッキーをくわえながら、テレビを見てると、不意に結が振り返った。
「………ゆひ、どひた?(結、どうした?)」
杏の呼びかけには答えず、結の視線はぐるりと部屋を一周する。
「思ったより片付いてた。」
「ちょっと!喧嘩売ってるの!?」
失礼な言葉を発した結に、杏は机をバンッと叩いた。
そんな様子を見ながら、結は苦笑する。
「売ってない、売ってない。」
否定する結に杏は不服そうに、腕を組むと、何か閃いた表情を見せると、ニヤリと笑う。
「なら、今度は私が結の家に行くからね!!私の誕生日!!覚悟しなさい!!」
「あ、うん。いいよ。」
思った以上にあっさりと承諾が出てしまい、少し拍子抜けな感じもする。
が、改めて思い返せば結の部屋が汚いわけがない。普段の生活を見ていれば分かるだろう。