今夜、君とBloodyKiss
「っ………いっ…………!!!」
鋭い痛みが首元を駆け回る。
同時にどこからか、大きな鐘の音が響き渡る。
頭に響くリズムが無意識に横切る中、何が起こっているか分からなかった。
もがこうにも、手首は押さえつけられ、見える視界は徐々に涙でゆがんでいく。
とにかくもう、何が起こっているか分からず、無意識のうちにうわ言として結の名前を呼び続ける。
「ゆ……結…結!……なんでっ……」
薄れゆく視界と意識の中、そっと離れた結の表情は見えず、ただ、暗闇の中で輝いていた赤だけが刻み込まれる。
「…………」
ぼやっと、結の口元が動いた気がしたが音までは聞こえてこなかった。直後、頭が大きく揺れる感覚に包まれ、もう限界と訴えるように全身から力が抜け、揺れる感覚に包まれながら、そのまま意識すら手放した。