今夜、君とBloodyKiss
2nd Kiss
知らない世界
ふわふわする。
身体全体が揺りかごに乗っているような感覚に、ゆっくりと意識が浮上する。
何故か心地よい気持ちの中、突如貫かれた痛みに杏里の意識が一気に覚醒した。
「っ!!痛い!!!!」
勢い良く目を開け、身体を起こすと突然の眩しさからか、頭がくらっとした。
「いけません!まだ起き上がられては!」
どこからか聞こえる声に反応したいが、頭痛と目眩でそんな余裕はなかった。
そっと添えられる手に身体を委ね、そのままもう一度身体を沈める。
横になった状態でゆっくり深く呼吸すると、徐々に気分がましになった。
それでも痛みが続く。
その原因を感覚に委ねると、どうも耳から来ているらしい。その正体を確かめようと手を上げるが、何かが邪魔をして思うように動かない。
不思議に思って目を開けると、手首には見覚えのない手錠がかかっている。
「え?」
思わず眉根を寄せるが、状況が分からない。改めて周りを見渡すと、そこも見覚えのない部屋だった。
「どこ、ここ……」
戸惑いながら、ゆっくり起き上がろうとするが、誰かに止められる。