今夜、君とBloodyKiss
2nd Kiss

知らない世界



ふわふわする。
身体全体が揺りかごに乗っているような感覚に、ゆっくりと意識が浮上する。

何故か心地よい気持ちの中、突如貫かれた痛みに杏里の意識が一気に覚醒した。


「っ!!痛い!!!!」


勢い良く目を開け、身体を起こすと突然の眩しさからか、頭がくらっとした。


「いけません!まだ起き上がられては!」


どこからか聞こえる声に反応したいが、頭痛と目眩でそんな余裕はなかった。
そっと添えられる手に身体を委ね、そのままもう一度身体を沈める。
横になった状態でゆっくり深く呼吸すると、徐々に気分がましになった。

それでも痛みが続く。
その原因を感覚に委ねると、どうも耳から来ているらしい。その正体を確かめようと手を上げるが、何かが邪魔をして思うように動かない。


不思議に思って目を開けると、手首には見覚えのない手錠がかかっている。


「え?」


思わず眉根を寄せるが、状況が分からない。改めて周りを見渡すと、そこも見覚えのない部屋だった。


「どこ、ここ……」


戸惑いながら、ゆっくり起き上がろうとするが、誰かに止められる。
< 23 / 38 >

この作品をシェア

pagetop