今夜、君とBloodyKiss
「いけません、無理をしないでください。」
止めたのは、知らない人。
所謂、よくある、メイドさんの服を着ているのでメイドさんだと思う。
でも知り合いにメイドさんもいないし、メイドにお世話される由縁もない。
状況が読めず、もう一度布団へ沈む。
---落ち着こう、思い出せ。
回らない頭で必死に記憶を手繰っていると、ドアからノックが響く。
「はい。あ…坊ちゃま」
応待にでたメイドが、来客とやり取りしているのを遠くに感じながら、記憶を手繰ることを辞めない。
覚えていることを一つ一つ思い出す。
朝起きて、着替えて、出かけて…
なんで?誰と……
「そう、結の誕生日で…」