今夜、君とBloodyKiss
「そう、誕生日なんだ。」
急に上から降ってきた言葉に、全ての思考を止めて、そちらを見ると懐かしい。
結がそっと杏里を覗き込んでいた。
「結……?」
ぽつりと呟いた言葉に、結はそっと笑って杏里の頬に手を伸ばす。
その輪郭をなぞるように、触れた手から結の温もりが伝わってきた。
知らない場所だからか状況が掴めないのか、見知った結を見て、安心したのだろう。視界がどんどん揺れてゆく。溢れる涙が止まらない。
「結……結……」
そっと添えられた手に、自分の手を重ねる。すがるように結の手を両手で包む。
もう、結しかいないかのような感覚に苛まれる。
例えーーー
結の目が赤く染まっていたとしても。