今夜、君とBloodyKiss
次に目を覚ましたのは、自分の家だった。
見渡せば全て見慣れた風景で、今までの事は全部夢だったのではと思うほど何も変わらない。
結の誕生日を祝っていたはずなのに、部屋は片付いてる。
「あ、もしかして祝ってる途中で寝ちゃったのかも」
突拍子のない出来事は全部ひっくるめて遥か彼方へと投げ打つことに決めた。
気になって手の甲を見たが、模様もない。
本当に何も変わった所がない。
「夢……だったのかな。」
そう思うにはやけに生々しい記憶が蘇るが、とりあえず頭を振って雑念を払う。
カーテン越しに差し込む光と、時計の指す時間がもうすぐ昼を教えてくれる。
カレンダーを見れば、結を祝った翌日だ。
「……休みでよかった」
日曜が幸いした。明日からまた大学が始まるが、いつもと変わらない日常だろう。
安堵と共に襲ってくる眠気に身を任せ、杏里はそのままベッドに倒れこんだ。