今夜、君とBloodyKiss
杏里の理不尽な怒りを受けた結は、ほわっと笑顔を見せる。

「え、だって、、ここに来たらもう杏里ちゃん落ちてたもん。間に合わないよ〜」

えへへへ〜〜といいながら、杏里の近くでしゃがみ込み、座り込んだ杏里と目線を合わせる。

そして、涙目になった杏里の肩を掴んで顔を寄せる。

ペロッ


杏里の頬に生暖かい何かが触れた。

「えっ?」

思わず顔が引きつる。
なんで、結が頬を舐めるのか。

「え、ちょ……辞めて。何やってんの?」

「何って……味見?」

そう言った結の目が赤く染まる。
その瞳に映った自分を見ながら、杏里の動きが止まる。

「……結……?」

夢と一緒。雰囲気の変わった結と、赤い瞳。

「せっかく、俺が迎えに行ったのに、無視するんだもんなー。」

目をしっかり合わせながら、結の腕が首元に絡まる。

「これがある限り、俺から逃げられないのに。」

つーっと手の甲をなぞられる。
視線だけを動かすと、夢と同じ模様が甲に浮かび上がっていた。

「ゆ…」

名前を呼ぶ前に、手の甲に触れている手とは反対の手で、結に口を塞がれる。

「杏里、契約は執行される。」

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