今夜、君とBloodyKiss
「えっ?」

杏里の疑問に応えることなく、結の鼻先が首元に触れる。

「結…?」

直後、首元から走る激痛。
あまりの痛さに、声すらでない。
ただ、息を吐くだけで精一杯だった。

「っ……!!痛い…!ゆ、、、結っ……辞めて……」

絞り出す抗議も、結は構わず辞める気配は無かった。

耳元に届く水音に、心理的にも、物理的にも血の気が引く。


結が、私の血を吸っている。

この事実だけでも、信じがたい。
人の血を、噛み付いて飲むだなんで、非現実的だ。なのに今、現実で起きている。

フッと遠くなる意識の中、ようやく顔を上げた結の口元が赤く染まっていた。

そして、その赤くなった目を見て、杏里は意識を飛ばす前に思った。

まるで、吸血鬼だと。
< 38 / 38 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

逢瀬を重ね、君を愛す

総文字数/73,751

ファンタジー159ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop