駄目男、最低。
■■■

そうしてあたし達二人の同棲生活は始まって、特に何の大きな出来事も起こらない穏やかな日々が続いた。


大手の企業に勤める康介は仕事は出来る男だからよく稼ぐ。性格だって温厚で、下半身の乱れ以外は実は良い彼氏なのに。


とにかくゆるやかな毎日。


あたしは、勤務を終えてから軽く伸びをして帰宅の準備をする。


康介との出会いは、歯科衛生士として働くあたしがこのクリニックに勤めたての頃だった。


初診の患者だった康介は親不知の痛みを涙目で訴えていた。
その情けない表情が笑えてつい顔が緩んだあたしに


「我慢するから、僕と付き合って下さい」


なんて言ってたな。あの頃は可愛いかった。





お互い。

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