空春〜ソラハル〜





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結局その日は1日
高瀬くんはみんなに
囲まれっぱなしだった。



あたしは今日も
夕方の帰り道を歩く。





その時、バタバタバタ…と
賑やかな足音が聞こえた。



「佐山さーーーん!」

「高瀬くん!」

「帰るとこ同じなんだから
わざわざ別々で帰るのも
変な話でしょ」

「うん、まあ…
でも、高瀬くんみんなに
囲まれて忙しそうだったし」

「ああ、うん、うまく
なじめたみたいで
ホッとしたよ」

「あれだけ愛想よくできれば、
何も心配いらないっしょ。
一番最初にあたしと
話した時は作り笑顔って
かんじがしたけど」



あ、やば、なんか
トゲのある言い方しちゃった。



「ははっ!そうだね。
佐山さんがクラスにいなかったら
俺多分みんなに
壁作っちゃってたよ」



あたしの心配などよそに
カラッと笑って、
サラリとすごいことを言う。



「え、あたし…?」

「うん。知ってる人がいると
人見知りしないタイプなんだ俺。
だから、佐山さんありがと!」

「う、うん、別に
何もしてないけどさ…」





赤い顔を見られないよう、
サッと下を向く。



すると高瀬くんは
そーいえば、と続けた。







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