空春〜ソラハル〜





「まあまあ文化祭前日に
そんなケンカすることないっしょ」

「でもっ…!
実際紙コップとか…!」

「それ、俺が帰りに
買っとくから。
そんで明日の朝持って来るよ。
それでいいでしょ?」

「え、でもそんな…」



悪いよ、と高瀬くんに
ブリッコを決め込むこの子、ユカ。



「いいって。
俺なんか買い出しすら
やってないくせに
ずっとおしゃべりしてたし?」

「そ、それは…」



高瀬くんのにっこり顔に
ユカも気まずそうに目を泳がせる。



「で、でもテーブルクロスは!」

「てか、テーブルクロスって
そんな必要かあ?」



今度は佐伯の声が響く。



「さ、佐伯く…
っ!もういいっ!!」





バタバタとユカは教室を
出て行った。





そのあとくるりとあたしに
向き直った高瀬君は、
いたずらっ子のように
ベッと舌を出して
なんだかとてもキラキラしていたのを
私はきっとずっと忘れない…。








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