空春〜ソラハル〜
…その日の帰り道。
「やー、ごめんね佐山さん。
買い出し付き合わせちゃって」
「いや、まあ別に私
一応買い出し係だし」
…我ながら素直じゃないわ。
かばってくれてありがとう、
すら言えないなんてね。
いやいや、別に高瀬くん自身が
しゃべってるどうこうのとこで
ムカついただけで
私をかばったわけじゃ
ないかもしんないしさ。
いやいやいや、それでも
私が助かったことに
変わりはないわけで…
「ぐううううう…」
「え?どーしたの佐山さん」
「エ!?
イヤ…ナニモ…」
「ちょ、思ったことあるなら
言ってよなんでも!
溜め込むタイプじゃ
ないんでしょ?」
ふっと優しい笑顔を見せられ、
私は少し下をむく。
そして意を決して口を開いた。
「あの、エット…
さっきは助けてくれて
ありがとう…ございマス」
「………」
「いや、あの、高瀬くんは
助けたつもりは
サラサラないかもしれんのだけど
まあ、私が勝手に
助かってしまったというか…」
「………」
「…高瀬くん?」
全く反応がないので
不思議に思い顔を上げると、
そこには思いがけず
赤くなってポカンとした
高瀬くんがいた。