空春〜ソラハル〜
「ちょっ…赤っ!!」
「うわ、ちょっとまじで、
見ないで!」
「いやっそれは…ぶっ!
くくっ…!」
「笑いすぎ!!///
あ〜…まじで不意打ちくらった…」
「不意打ち?…くくっ」
「いい加減笑うなっ。
だってまさか礼言われるとは…」
私に軽くチョップして、
パタパタと手で顔を仰ぐ。
「てっきり俺に対して、
さっきの女の子の時みたいに
言いたいことがたくさんあって、
でも俺がかばったせいで
言いづらくなってるかと
思ったから…。
あ゛〜、まじやだ、赤面症…」
「え〜いいじゃん赤面症!
カワイイカワイイ♪
でもさすがの私でも、
しょっちゅうあんな風に
ケンカ腰なわけじゃないよ。
言いたいことは言うけどさ」
「ん?どーゆーこと?」
「つまり、ちゃんともうちょい
冷静に言うってこと。
あんな責め立てるようには
言いマセン。
まあ、ユカが突っかかってくるから
私も応戦してしまうというか…」
「へえ?
仲悪いの?」
「や、なんか私と佐伯が
話すのが気に食わないみたいでさ…
佐伯のこと好きなんじゃないかなー」
「ナルホドネ。
しかも佐伯君も
鈍感そうだもんね」
「そーなの!
最初は私も佐伯に
話しかけられるたびに
ヒヤヒヤしてたんだけど、
あまりにユカが好戦的だから
どーでもよくなっちゃって…
あ、マンションついたね」
「あ、うん。
でも、いいね。
ハッキリ意見言えるような、
口喧嘩する相手がいるって。
…じゃあ、明日がんばろう!」
ガチャ…パタン。
ドアを閉める直前の高瀬くんは、
すごく寂しそうな目をしていた…。