空春〜ソラハル〜
「……超、楽しかった!!」
「…っ!!」
そう言って笑う高瀬くんは
今にも壊れそうで。
無理して笑う彼に
私の胸はズキズキしてて。
「高瀬くん…
今日、何かあったの?」
「えっ…
何も、ないよ…」
そう言って高瀬くんは
うつむいた。
「ほんと、なんでもない…
なんでもなかったんだ…
おれなんて」
消え入りそうな声で
何か言った高瀬くんの肩は、
小さく震えていた。
私は、高瀬くんの髪に
手をのばしかけて…
降ろした。
今触れたら完全に
壊れてしまうような気がして、
痛々しくて、
さわれなかった。
何があったかわからないけど、
私なんかに出来ることは
多分何もなくて。
ただただ隣のブランコに
座っていることしか
出来なかったーーー。