【永遠の愛を繋ぐ2人の手】(*ラブコスメ参加作品)
でも、私はいま菊田に対して
『好き』と言う想いと同じ
…いや、それ以上に
言いたくても言えない
打ち明けられない
ある事情を隠し黙っていた。
彼と握手が出来なくなる日が
刻一刻と近づいている事を…。
感じていたい、離したくないと
思っていた手の温もりも優しさも
伝わる緊張感も
彼に対する『好き』な想いも
同期として、友人としての絆も
手放さなければならない事も…。
既に話してある湖奈美と遥晃には
『菊田に絶対話すべきだ』
『これを機に自分の想いも
きちんと彼に打ち明けるべきだ』
『そんなの幸せじゃない!!』と
再三忠告されていた。
でも私は答えを濁して
なかなかその決断を
彼には打ち明けられずにいた。
出来る事なら
こんな事を決断したくはなかった。
でも、私には
こうするしかなかった。
それは…。
私が来年3月末をもって
今の会社を退職して
実家のある関西に戻り
家業を継ぐ事。
そしてもう一つ私はある決断をした。
これはまだ
湖奈美と遥晃にも言ってない。