【永遠の愛を繋ぐ2人の手】(*ラブコスメ参加作品)
私の両親は関西で
祖父母の代から続く喫茶店を
経営している。
数年前から父親が病に倒れて以来
母親が実質的に切り盛りして
父親も体調の良い日だけ店に出たり
大学生の弟と母親の甥がアルバイトで
時々店を手伝ってくれていた。
両親は弟か甥に経営を譲ろうと思い
当初2人も前向きに考えていたが
その後
2人とも自分達の持つ夢を諦めきれず
大学卒業後、地元を離れる事になり
後継者を辞退するとの結論に
至ってしまった。
父親はショックで
塞ぎ込んで店に立てなくなり
母親も叔母に手伝って貰っているものの
自分達だけでは不安なところや
弱っていく父親が気がかりで
やはり後継者が欲しいとの気持ちから
ある日父親に内緒で
上京してOLをしている
私の所へ母親が訪ねてきた。
『地元の皆が愛するあの店を
続けていきたい。
弱っていくお父さんが不憫で…。
親の我儘だとわかっているが
愛梨…あの喫茶店を継いで欲しい。』
私の手を握り
母親は泣きながら
頭を下げて頼んできた。