【永遠の愛を繋ぐ2人の手】(*ラブコスメ参加作品)
皺が増えた母親の手。
経営に忙しい中でも
私や弟を育ててくれて
大学まで進学させてくれた両親。
上京を許してくれて
笑顔で見送ってくれた両親。
しかし、そんな両親が
今、経営危機に陥ろうとして
私に必死で頭を下げている。
あのお店…好きだった。
店内に漂う珈琲の香り。
和やかな雰囲気と皆の笑顔で
支えられた優しい時間が流れる店内。
私もお店のお手伝いをしていた時
珈琲の淹れ方を教えて貰っているし
厨房での調理も経験しているから
やり方はわかる。
…でも。
ふと頭をよぎったのは
紛れもなく…菊田。
私の好きな彼の笑顔と
いつも感じる彼の緊張感と
私をドキドキさせるような
優しい手の温もりだった。
しかし、私が喫茶店を継ぐ事は
関西へ帰らなければならない事。
二度と会えなくなる事。
そして
二度と彼と握手を交わせなくなり
彼の温もりも感じる事が
出来なくなると言う事…。
同期・友人としての絆も
失ってしまうと言う事…。
両親は大事。
お店も大事。
だけど、彼との絆を失うのも恐い。
どうしていいのかわからず
私の目から
ポロリポロリと涙が溢れた。