【永遠の愛を繋ぐ2人の手】(*ラブコスメ参加作品)

以前、チラリと聞いていたけど

そう言えば今日だったんだ…。

心なしか彼の手から

微かな緊張感が伝わってきた。

「…サンキュ、汐見。」

彼は口角をあげて微笑むと

「ハンドクリーム変えたんだな?」

突然そう聞いてきた。

「…えっ!?わかった?
うん、そうよ…新発売の…。」

私は驚きながら答えた。

「…やっぱりなぁ。
いつもと匂いが違うし、握った時の
モチモチ感が違うと思ったから…。」

「…えっ!?モチモチ感!?
そうなの?」

さらに驚いた私に

「…ああ……あっ、いけっねぇ!!
俺もう行くわ!!
…汐見、マジでサンキュ!
成功したら今度また飲みに行こう…。
石田もじゃあな!!」

時間が迫っていたのか

腕時計を見た彼は

言いかけた事をやめて

慌てて話を切り上げると

私達に背を向けて

元来た道を慌ただしく帰っていった。

彼の背中を見送った私を見て

「…アンタ達は本当
素直じゃないって言うのか
不器用って言うのか、何なのか…。」

湖奈美は呆れたような顔をした後

「…私はそんな焦れったいのは
性に合わないわ。」

そう言って肩を竦めて苦笑いをした。
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