【永遠の愛を繋ぐ2人の手】(*ラブコスメ参加作品)

「……別に、菊田は
そんな風に…私を見てないよ。
単に本当に『ゲンカツギ』の為だよ。」

既にもう彼が視界にはいないけど

そのまま私はボソッと呟いた。

そう…単なる『ゲンカツギ』だよ。

菊田には長年彼女はいないけど

私の事なんて

ただの気の合う同期仲間としてしか

見てないよ…。

でも、『ゲンカツギ』でもいいんだ。

彼の緊張感がほぐれて

その時だけでも、一瞬だけでも

その手の温もりを感じる事で

何だか彼と心が繋がって

彼の特別になれるような…。

…そんな気にさせて貰えるから。



「…ねえ、愛梨。」

同じ職場である湖奈美と

廊下を歩きながら私は

彼女に名前を呼ばれた。

菊田と握手をした後から

少しボーッとしていた私は

「……あっ、ごめん…何?」

我に帰って彼女に視線を向けると

彼女は私をジッと見たまま

「…ねぇ…まだ菊田には
あの話…言わないつもり?」

私達だけが聞こえる程度の声で

そう聞いてきた。

「…うん、まだ…そのうちに…。」

少し俯き加減に返答すると

「…さっさと話せばいいのに。
私も遥晃(はるあき)も
心配してるんだからね。」

ふうっとため息を吐く彼女に

「…ごめん…心配かけて。」

私は力なく謝った。


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