【永遠の愛を繋ぐ2人の手】(*ラブコスメ参加作品)
これは、私が高校生の時。
全校生徒の前で
弁論を発表をする事があり
出番を前にして
ガチガチになっていた私に対して
近くにいた50代の担任教諭が
『…汐見…落ちつけ。
そうだ…僕と握手をしよう。
誰かと握手をすると
緊張感がほぐれてラクになる事もある。
僕も昔、恩師にそう言われて
握手をしたら、緊張がほぐれたんだ。
僕の娘や息子も何かあると
僕に『ゲンカツギの握手』と言って
握手を求めてくるんだ。』
そう言って、差し出された右手に
私は半信半疑ながらも
右手を出して握手をした。
その後ステージへと送り出された私は
驚く事に緊張感が和らいで
発表もおかげで成功した。
『ゲンカツギの握手』は
その記憶が蘇ったからだった。
今目の前にいる菊田の様子が
あの時の私と重なるようで
放っておけないと感じたのもあった。
***
そんな私の行動に
彼は一瞬キョトンとし
湖奈美も
『えっ!?』って顔をしていたけど
「…ああ。
サンキュ、汐見。
じゃあ、試しに頼むよ。」
そう言って右手を差し出した彼の手を
私は軽く握ると
『頑張れ!!』
『きっと上手くいく!!』
そんな意味を込めて
キュッ、キュッと
2回握手を交わした。