True Love
第1章
「花音、そろそろ準備できたかぁ?」
「ごめーん!あともうちょっと待って…」
私の言葉を聞いてわざと大きなため息をつく彼。
「さっきから何度目の『ちょっと待って』だよ…」
「はいはい、ごめんね。準備できたよ!」
急いで玄関に行き、靴を履いて彼と2人で私の家を出た。
彼と並んで道を歩く。私よりも背が高い彼の足は長く、歩くスピードも断然彼の方が速い。
だけど彼はいつも私の歩幅に合わせてくれる。
そんな優しい彼と今向かっているのは---…
「わあ!やっぱり綺麗だねぇ!」
電車に乗りたどり着いたこの場所は2人で何度も話し合い決めたチャペル。
そう、私たちの結婚式場。
チャペルを目の前にはしゃぐ私の横で彼は笑う。
そんなことは気にせず目を閉じて結婚式の風景を思い浮かべる。