ぎゅってね?
「…ん?あ~よく寝た…って、なんだ莉子か」

眠たいのか目をこすりながら玲人は私のほうを見てそう言った。

「人のこと呼び出しておいて寝てるとか、いいご身分ね」

「……起こせよ」

「起こしたのに起きなかったのは誰よ?」

これ見よがしにため息をついてやると、あくびをしながら玲人は悪い悪いと軽く謝った。

「んじゃ、お詫びにコーヒーおごってやんよ。ファミレス行こうぜ」

「え~またドリンクバー?」

そう言いつつ私は玲人と出かけられるのがうれしくて、だけどこんな気持ちを悟られたくなくてわざとむくれて見せる。

「じゃあ行くか」

と私の意見も気持ちもまるっと無視して玲人はさっさと歩きだす。
相変わらず勝手な男だ。

玲人の歩く速度が速いから、自然と私も早足になる。
玲人の隣を歩く光景は昔とさほど変わらない。
違いはいつの間にかできた身長さと手を繋がなくなったことくらいだろう。

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