ぎゅってね?
子供の時は何も考えず玲人と手をつないでいた。
それこそ当たり前すぎて意識したことなんてなかった。

中学生の時だ。
一緒にいる私たちがからかわれたのは。

思春期の波にあらがえなくて、
からかわれることが恥ずかしくて。
それでも無邪気にそばにいるのは当たり前だと思っていた私。
そんなある日、誰とも知れない誰かから私は嫌がらせを受けた。

玲人はその当時からモテていたから、私は格好のターゲットだったんだろう。

隠された靴を玲人が一緒に探してくれたけど、それは結局出てこなくて、私は上履きのまま泣きながら玲人にと一緒に帰った。

『泣くなって、莉子。大丈夫。俺が何とかしてやるって』

そう言って笑った玲人と手をつないだ瞬間自覚した。

玲人は『男の子』なんだって。

このまま『子供のまま』そばにいることはできないんだって。
私は気づいてしまったのだ。

その日玲人の手を放した時に思った。

『強くなりたい』って。

玲人と一緒にいたいから。

私は玲人と手をつなぐことをやめた。

それから、長い長い片想い。

いつまでも続く片想い。



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