センセイの白衣
教室に帰ると、天野先生のクラスで受けた数学のテストを、担任が代わりに返すところだった。



「晴子。」



呼ばれて、担任のところに行く。



「お前、ほんとによく頑張ったな。すごいいい点数ですよ。」



そう言われて、点数を見ると。

80点台だった。

今まで、30点台しか取ったことのなかった私が。

数学で、そんな点を取ったのは、初めてだった。


すべては、S大のために頑張ったんだ。

S大の二次試験のために。


でも、地元のN大は、二次試験に数学はない。

私の努力は、意味がなかったんだ。



担任に、3年間で初めて褒められたのが、今日だなんて。

なんだか、ものすごく皮肉だ―――

担任は、私の進路変更を知らないから、仕方のないことなのだけど。



テストを受け取って、教室の隅っこに行くと。

私は、また涙が止まらなくなってしまった。

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