センセイの白衣
このお話は、これで終わり。

続きはあるような、ないような。

私の未来が、このお話の続きになるんだと思う。


だけど、ひとつ確かなのは。

私は、川上先生のこと、決して忘れたりしないってこと。


些細な会話は、忘れてしまうかもしれないけれど。

でも、先生の存在は、先生を大好きだと思ったあの頃の気持ちは、いつまでも忘れない。


私ね、最大級につらいときはいつも。

先生に貰ったあの言葉を唱えるんだ。


『生物は、生きているだけで素晴らしい。』


ってね。


そうすると不思議と、大きな気持ちになれるんだ。

そうだよ、生きているだけで、人間ってすごいんだって。

この右手を動かしているだけで。

私って、すごいんだって―――










いつも、白衣の先生は。


私よりずっと、ずっと前に生まれたから。


私一人を夢中にさせるくらい、簡単だったんでしょう?




ねえ、先生。



先生は、私の人生を変えたんだから。



せめて、夢を叶えるまで見守っていてください。



どうか―――――









。**『センセイの白衣』Fin.**°
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