センセイの白衣
そして、結局テストは何点だったんだっけ。

もう覚えていないけれど、多分、よかったんだと思う。

一番だったかどうかは、もう忘れてしまった。


書いている今となっては、そんな細かいこと、って思うようなこと。

その頃は、一つひとつがどんなに大切なことだったか。

一生忘れないでいようって思ったことも、どんどん忘れていく。

それが寂しい。


このままだと、先生の言葉なんて、泡のように消えて行ってしまいそうだから。

だから、こうして言葉にすることにしたんだよ。


もしも誰か、好きな人が現れて。

先生を好きだったときの気持ちを、忘れてしまったら。

そう思うと怖いから。

あんなに好きだった気持ちを、忘れてしまうなんて、あの頃の私がかわいそうだから―――
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