センセイの白衣
小学生になって、気付いたことがある。


私は、父方のお墓に行ったことがないって。

それに、私の苗字も、母方の祖母と同じなのはおかしいって思った。

死んじゃったなら、苗字は父方のものであるはずだって。


今考えれば、そんなこと簡単に思いつく。

大体、父親の名前さえ教えてもらえないのは、おかしいって分かる。

でも、その頃の私にしてみれば、それが精一杯の結論だった。

だから、お父さんは死んでしまったわけではないと、自分なりの結論を出した。



高校生になっても、私はその疑念をしぶとく持ち続けていた。

だけど、その年になると、もう無邪気に親に聞くなんてことはできなかった。

お父さんのこと、母は絶対に教えてくれないだろうと、心のどこかで思っていたから。



そして、定期テストが終わった午後に、私は調べることにしたんだ。

今までずっと知らなかった、その人のことについて―――
< 23 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop