センセイの白衣
結局、閉祭式で発表された、我がクラスの順位は堂々の総合一位。

3年生の理数科を打ち破ったわけだから、これは、ものすごい。

毎年、3年の理数科が優勝というのは、相場が決まってるんだ。


そして、嬉しいことがもう一つ。


すべてが終わって、後夜祭が始まる前だった。



「はるちゃん!!」



職員室前で、笑顔の倉木先生。

見ると、短歌メンバーの3人が、私を手招きしている。



「予選、通過したよ!!」


「えっ!本当ですか!」



じわじわと嬉しさが広がる。

忙しい中でも、歌を詠んでよかった。

4人の力で、見事大会への出場を決めたんだ。



「はるちゃん、主力メンバーね。」


「え?」


「4人の歌を、学校の国語の先生全員に見てもらったの。それで、投票してもらって決めたんだよ。」



そんな、私たちのために、先生たちが動いてくれていたなんて。

なんだかすごく嬉しい。

4人のうち、3人が主力、1人が補欠となるこの大会。

補欠になった友達の分も、頑張らなくちゃ。



「なに、どうしたの。」



振り返ると、不思議そうな顔をした川上先生がいた。



「川上先生、この子たち、短歌大会の予選を通過したんですよ!」



倉木先生が、嬉しそうに言う。



「短歌?……ふーん、短歌ねえ。」



反応薄いの。

だけど、それが川上先生。

そんな川上先生も、大好きで。


何だか今日は、いろんな喜びが重なって。

先生に抱きつきたくなってしまった。



短歌をやってること、先生に知ってもらえて嬉しかった。

これからも、もっともっと。

先生に知ってほしかった。

私のこと、ひとつひとつ。

そして、先生のことも。



この頃の私は、打算的なことなんてひとつもなくて。

ただただ、先生に近づきたいって、そればっかり考えてた―――
< 31 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop