センセイの白衣
結果は惨敗。

レベルの差を見せつけられる結果となった。


それはそうだ。

一年生の頃から短歌を続けてきた人たちと、私たちではやはり詠む歌が違う。

リーグ戦の初戦で敗退して、勝ち上がっていく高校の歌を聴いていた。

やっぱり、すごい。

すごいよ。


短歌って、こんなに奥深いんだ。

言葉で、私たちは宇宙にだってはばたける。

そんなこと、本気で思ったんだ―――



「ほんと、凄かったね。」



言葉少なに帰る帰り道、クッキーを買った。

川上先生に、お土産って言って渡したら、先生困るかな。



「おっ、川上先生にお土産?」


「え、あっ!」



咄嗟に隠そうとすると、倉木先生は余裕の表情で笑う。



「買っちゃいなよ。渡しちゃいなよー!先生喜ぶよ!」


「そう思いますか?」


「お土産貰って怒る人はいないでしょ!」


「まあ、そうですよね。」



そう言われると、確かに何を悩んでいたんだろうって思う。

クッキーをかごに入れると、私はちょっと嬉しくなった。

いつ渡そうかな、そんなことを考えながら。
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