センセイの白衣
第4章 好き、が止まらない

お土産

夏休み明け初日。

今日は、何としてでも先生に、お土産を渡さなくてはならない。

それも、担任の分はないから、こっそりと。


チャンスはいきなりやってきた。


朝、裏道から登校していたら、前方に先生が歩いていたんだ。

高校の近くに住んでいるって聞いたことはあったけれど、いつも自転車だったから。

歩いている先生に遭遇したのは初めてだ。


私は、小走りで先生との距離を詰めていった。

これでは、ストーカーみたいだけど。



「せーんせっ!」


「うわっ、びっくりした。」



先生は、あからさまにびっくりした様子で振り返る。



「横内か。」


「おはようございます!」


「おはよう。」


「先生先生、ハイッ!お土産です!」


「え?」



先生は驚いた顔。

でも、私が差し出した袋を、受け取ってくれた。



「いいの?」


「はい!いつもお世話になっているので。」


「またまたー。」


「内緒ですよ!」


「うん。」



そんな会話をしながら、高校の裏門にたどりつく。



「じゃあ俺、こっちだから。」


「はい!」


「ありがとな!」



先生は、袋を掲げて見せた。

朝から、幸せいっぱいだ!


お土産大作戦は、こうして成功したのであった。
< 38 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop