センセイの白衣
次の日の授業も、計算問題が多かった。

でも、私は昨日、先生に言われた問題を一生懸命解いて。

やっと解き方をマスターしたんだ。


だから、難しい問題にももうつまずかない。

すらすら解けるんだから。



授業が終わってすぐ。

川上先生は、私の机のそばまできて、ノートを覗きこんできた。



「文芸部は出来たかな?」



先生が、合ってるか合ってないか教えてくれると思ったのに。



「うーん、よくわからんな。」



その適当な答えに、ずっこけそうになる。



「先生、計算問題、できるようになりましたよ!!」


「出来て当然だ。」



えー、自力で解決したんだから、もっと褒めてくれてもいいのに。

ちょっと切なくなる。


前は、先生と話せただけで感動していたのに。

先生と仲良くなるうちに、もっと欲張りになっていく。

先生といくら仲良くなったとしても、ある一線を越えることはできないって知っているくせに。


その日、他クラスの女子に囲まれる先生を見てしまったこともあって。

私は少し、寂しかった。
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