センセイの白衣

入賞

そんな時、嬉しい知らせがあった。

私の県の文化祭に出した短歌が、最優秀になったらしくて。

そして、県代表で送られた全国でも、優秀賞になったそう。


ビギナーズ・ラックとは私のことだ。


だけど、嬉しかった。

何の取り柄もなかった私が、短歌に出会って。

そして、生物に出会って。

人並みに語れるものが、できたってことが。



その頃の私は、毎日先生のことばかり考えていて。

賞を取っても、真っ先に考えたのは先生のことだった。

先生に知ってほしいって、そう思った。



そして、廊下で会ったとき。

声を掛けようと口をひらいたら―――



「お前、文系確定だな。」


「へ?」


「総文祭で福島行くんだろ?いいなー。」




先生、知っててくれたんだ。

嬉しい。

めちゃめちゃ嬉しい!!


こんな些細な一言でも、ちゃんと私のことを見てくれてる証拠だって思った。

だから、賞よりも先生の言葉が、嬉しくて仕方がなかった。
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