Wonderful DaysⅡ
私の中で、一番記憶に残っているクリスマスイブ……
それは、魁さんと初めて会ったあのパーティーの日。
キラキラと光輝くイルミネーションも、当時の私の目には色褪せて見えていて。
私の世界はモノクロに染まっていた。
そんな私に色を取り戻させてくれたのも、止まっていた私の心を動かしてくれたのも魁さんだった。
魁さんの言葉と行動があまりにも、強烈過ぎていたから。
───普通、付き合ってもいないのに妻にしてやるなんて言わないよね?
ましてや、12歳だよ?
今考えてみたら、随分と勇気があると言うか、無謀と言うか……
「…ふふっ……」
思わず笑ってしまった声が、静まり返った部屋に小さく響く。
あの頃から、ずっと私の心の支えは魁さんだった。
「───魁さん……」
蘇ってきた記憶に、あれだけドクドクとうるさかった心臓は、トクントクンと規則正しい音に変わっていた。
どこまでも優しく愛おしげに見つめてくる、あの瞳を思い出したら、なんだか……今、無性に魁さんに会いたい。