Wonderful DaysⅡ
鼓膜に響く魁さんの声は、いつもより何倍も甘くて、腰が砕けそうになってしまう。
───何で、こんな状況になってるの!?
必死に考えようとするけれど、耳を掠めた魁さんの唇の感触に、沸騰した頭では考えるどころか思考回路がショートした。
「…あ、う……、は……」
自分でも何を言っているのかわからないまま、目の前にある綺麗な顔をひたすら凝視していれば
「……マリア?」
クスクスと心底、楽しそうに笑っている魁さんに急かされて、最早、反論の余地も無く……
「……しっ、失礼します!」
もう一度、指先で魁さんの前髪を梳いてから反対の手に持っているタオルをそっと額に押し当てた。
私が汗を拭きだすと、触れていた手を離して大人しくしている魁さん。
部屋中に溢れる魁さんのフェロモンに当てられながら、ゆっくりと額に滲む汗を拭き取っていく。
───それにしても……
汗を拭いている間も感じる、魁さんの視線が気になって仕方がない。