Wonderful DaysⅡ


抱きしめていた鞄にきゅっと力を入れれば、中の固い感触にハッとする。


「あ……」


そうだった。

鞄を開けて、そっと取り出したそれに視線を向ける。

せっかく、用意した魁さんへの誕生日プレゼント。

予定では、誕生日のクリスマスイブに魁さんに連絡を取って渡そうと思っていたけれど……


今、私がいるのはイギリスで。

更に、年明けまで帰れない私には魁さんに会う事すら無理だった。


「誕生日には、渡せないなぁ……」


マーク兄さんに我が侭を言って日本に帰れたとしても、こっちを出発するのは早くて26日以降。

本心を言えば、今すぐにでも此処を飛び出して日本に帰りたい。

でも、私一人の力ではどうする事も出来なくて……

ただ、想いを日本にいる魁さんへと馳せるだけだった。



< 11 / 278 >

この作品をシェア

pagetop