Wonderful DaysⅡ


ゆっくりと近づいてくる魁さんの瞳に魅入られて動けなかった私。

額に触れたその懐かしい感触に、出会った時の魁さんを思い出してしまった。


「マリア」


上から降ってくる囁きに視線を向ければ、愛しげに見つめてくるダークブラウンの双眸。


「魁さ……」


愛しい人の名前を口にすれば、艶っぽく微笑む魁さんの唇がまた近づいてくる。

反射的に閉じた瞼にも柔らかい感触を感じたかと思えば、蟀谷に、耳元に、頬に、鼻先にと順に口づけが降ってきた。

心臓は苦しいくらい鼓動を刻んでいたけれど、少しずつ緊張が解けてきたのか、体の力は抜けていく。

魁さんの瞳には、相変わらず熱を帯びた光が宿っていて。

その瞳を見上げて「はぁっ…」と小さく吐息を漏らせば、その様子を見ていた魁さんがふっと笑って「少しずつ、慣れてきただろ?」と、甘く囁く。


───これって、慣れてきたって言えるの?


どう答えていいのかわからなくて、無言で魁さんを見上げていれば、再び顔中に優しい口づけが降ってきて、最後にちゅっと甘い甘い口づけが唇に降りてきた。


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