Wonderful DaysⅡ


「……魁さん?」


様子が気になって、なんとか視線だけを上に動かせば


「まさか、此処でお前を抱くわけにはいかねぇからな」


苦笑いを浮かべる魁さんが見えた。

“お前を抱く”

その言葉で、跳ね上がる心臓が痛い。


「あ……」


確かに、此処でそんな事をしてマーク兄さん達にバレたら後が怖いし、一瞬忘れていたけど今の魁さんは病人だ。

そんな事は分かっているんだけれど……
視界に映る魁さんは、まったく病人に見えなくて。

さっきまで、ぼんやりしていた筈のダークブラウンに私を映し出すと


「その代わり、日本に帰ったら覚悟しておけよ?」


クッと口の端を上げて、光を宿したままの瞳を細めた。

その表情が、あまりにも色っぽくて息が止まりそうになる。



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