Wonderful DaysⅡ
「返事」
「……っ、はい……」
言葉に詰まる私を見下ろして返事の催促をしてくる魁さんに、慌てて声を出すのがやっとだった。
私の消え入りそうな声を聞くと、ホッと息を吐いて目を閉じてしまった魁さん。
「………………」
「………………」
その端正な顔を見つめながら、暫くはジッとしていたんだけれど……一向に動く気配を見せない。
───ね、眠っちゃったのかな?
それでも腕の力が弱まる事は無く、すっぽりと納まったままの私。
どれくらい時間が過ぎたのか……
シーンとした部屋に響き渡るのは、時計の秒針の音だけで。
その音も魁さんの胸に耳を押し当てれば、とくんとくんと穏やかな心音に掻き消されていく。