Wonderful DaysⅡ
【第4章】
思い出の場所
◇
(side:アルバート)
───朝6時───
いつも通りの時間に目が覚めた俺は、身支度を整えてからリビングへと足を向けた。
部屋に入って、最初に目に付く当主の場所。
そこには、既に寛いでいる兄さんの姿があって。
顔を上げて、俺を視界に捉えると「おはよう」と無表情で声を掛けてくる。
「おはよう、兄さん」
それに笑顔で返して、向かいのソファーに腰を下ろした。
「おはようございます、アルバート様」
絶妙のタイミングで、目の前に差し出された紅茶。
「おはよう、アビー」
昨日、兄さんの会社からやってきたメイドのアビー。
流石、兄さんの会社で働いていただけあって動きに無駄がなく、彼女が入れてくれた紅茶は絶品だった。
美味い紅茶を楽しみながら、兄さんと雑談を交わす事、1時間と少し。
時計を見れば7時を過ぎていて、マリアを起こしに行っている筈のランスロットが中々姿を現さない事を不思議に思っていた。