Wonderful DaysⅡ
◇
(side:慧)
女の子との楽しいデートを終えて家に帰れば、門の近くに見慣れた漆黒の車が視界に映る。
───あれって、『神威』の車だよねぇ?
敷地内に入る前に車内をちらりと伺えば、運転席に座っている重盛君が確認できた。
こっちを見ていたから「やっほー」と手を振れば、ペコリと挨拶をしてくる重盛君。
「やっぱり、神威の車だ……って事は、葵君が来てるのかな?」
後部座席に人影はなかったから、きっと家に居るのかもしれない。
葵君が家まで来るなんて珍しいな……
たまには一緒にお茶でもしようと、少し急いで車庫に車を止める。
人数分のティーセットを用意して、魁君の部屋へ向かえば案の定、そこに居た葵君。
「いらっしゃい」
「あ、ご無沙汰してます。慧さん」
声を掛ければ、ペコッと挨拶をしてくる葵君はなんだか顔色が悪そうで。
声を掛けようとしたら
「お前、何だよ? その格好……」
ベッドの方から、呆れた声が飛んでくる。