Wonderful DaysⅡ
低血圧で、朝に弱いマリア。
起こしに行っても、なかなか起きてくれなくて。
用意した目覚まし時計は、悉く(ことごとく)壊された。
そんなマリアが、こんな時間に一人で起きれるとはとても思えない。
とすると、必然的に考えられるのは……
「………………」
やっぱり昨夜、部屋を出て、あのままアイツの所へ行ったのだろうか。
兄さんの反応が気になって、様子を盗み見れば……
舌打ちをしながら、眉間に深い皺が刻まれていた。
───怖すぎる……
普段、物静かで穏やかそうに見えるその容姿は、今は怖くて直視出来なかった。
「───アイツの部屋か……」
ぼそりと聞こえた、地を這うような低い声。
あぁ……部屋の空気が凍りつく。
「……魁の様子を見てくる」
そう言って立ち上がった兄さんは、足早にリビングから出て行った。
「………………」
部屋に残された俺とランスロット。
「…………行くか」
「はい」
今にも、魁を射殺してしまうんじゃないかという雰囲気に、俺達も少し遅れて後をついて行った。