Wonderful DaysⅡ
◇
とくん、とくん、と耳元で響く規則的な音が、とても安心する。
心地よい温もりに包まれて、ずっとこのままでいたいと思っていたけれど……
顔中に触れる羽根のような感触に、強制的に意識を浮上させられる。
“くすぐったい”
微睡みの中で文句を言えば、クッと喉の奥で笑う声が微かに聞こえてきた。
───誰だか知らないけれど、もう少し寝かせて……
再び触れてくる何かを避けるように身を捩ろうとすれば、なぜか体がピクリとも動かない。
何とか動かそうと力を込めれば
「───マリア……」
鼓膜を震わせる甘い声が、私の名前を呼んだ。
「……ん、は……ぃ、もう……すこ…し」
夢現で返事を返したけれど、もう一度訪れて来た深い眠りに意識が沈みかけそうになった時
「マリア、愛してる……」
遠くで聞こえた囁きと共に訪れた、唇を覆う感触に意識が一気に引き戻された。