Wonderful DaysⅡ
「譲れないモノ?」
「俺とマークさんの間で互いに譲れないモノなんて、お前しかねぇだろ」
そう言いながら、私の額を人差し指で押し当てる魁さん。
「……あ……」
その言葉を聞いて、見る見るうちに顔が熱くなる。
そっか。
魁さんも、私の事を譲れないと思ってくれているんだ。
そう思えば
「……嬉しい」
無意識に頬が緩んでいく。
「…ったく。もう少し、自覚しろよな」
呆れたような言葉だけど、声色はとても優しい。
「すみません……」
魁さんから向けられる眼差しが恥ずかしくて視線を逸らせば、凍っている街路樹で羽を休めているハトが寒そうに蹲っているのが見えた。