Wonderful DaysⅡ


まだ昼間だから、あの時とは少し雰囲気が違うけれど……

5年前と同じように飾られた一際大きなクリスマスツリーが、その存在感を示すようにキラキラと光っていた。


「昼飯食ったら、少し散歩しよう」


そう言いながら、腰に添えていた手に力を込めて建物に入って行こうとする魁さん。


「え? 入るんですか!?」


「お前なぁ……何で、此処まで来て素通りしようとしてんだよ」


驚きの声を上げる私に、呆れ返っている魁さん。


「でも此処、勝手に入って大丈夫なんですかね?」


あの時はパーティーで来ていたから気にしていなかったけれど、改めてこの建物を前にするとお城のような佇まいに圧倒されて足が前に進まない。

慌てる私の心配を余所に


「ランチとアフタヌーン・ティーの予約をしてある」


「え? 予約?」


「あぁ。そろそろ、予約の時間だから行くぞ」


腕時計にちらりと視線を向けた魁さんは


「あ…はい……」


私の腰を引くように、ゆっくりと歩き出した。


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