Wonderful DaysⅡ
足を踏み入れたそこは、イギリスでも有名な五つ星のカントリーホテルだった。
エントランスを潜ると重厚な雰囲気のロビーが広がっていて。
魁さんが手続きをしている間に、Great Hallと呼ばれる三体の甲冑やタペストリーが飾られている豪華な空間に通された私は、ソファーで大人しく待っていた。
辺りを見回して、以前と変わらない格式の高さが感じられる内装に魅入っていれば
「凄く綺麗だね」
向かいのソファーから男の人の声が聞こえてきて、思わず顔を正面に向けた。
不意に目が合えば、にっこりと笑顔を見せた男の人。
「………………」
凄く綺麗?
これって、内装を見回していた私に同意を求めているのだろうか……
確かに此処の内装は豪華だけど、どちらかと言えば重厚な雰囲気で、凄く綺麗と言う感じではない。
もう一度、ホールを見渡して確かめていると
「ねぇ、聞いてる?」
今度は、耳元で聞こえてきた声。
「え?」
驚いて振り向けば、視界いっぱいに広がる男の人の顔があった。