Wonderful DaysⅡ
ある一点を見つめて、微動だにしない。
てっきり手を離してくれるのかと思っていれば
「……ゆ、指輪……?」
私の左薬指で輝きを放っているそれに釘付けになって、手を放すどころか益々力が込められる。
「……これって……ひっ!!」
指輪の意味を悟ったのか、何かを聞こうとした言葉の途中で、不自然に息を吸い込んだ彼。
今度は何?と思いながら様子を伺えば、彼の視線の先は私の後方に向いていて、どんどん青褪めていく顔色。
……あれ? 前にもこんな事があったような……
ふと背後に感じた気配に振り向けば
「───その手を離せ」
相手を射殺しそうな眼力で睨みつける魁さんが立っていた。
「あ、魁さ……」
その姿を間近に感じて、ホッと息を吐いたのも束の間。
名前を呼ぶ途中で、素早く伸びてきた腕に驚いて言葉を失った。