Wonderful DaysⅡ
「……い゛っ!!」
変な呻き声が聞こえて、左手が自由になったのはその直後。
「え?」
魁さんの伸びた手の先を見れば、私の手を握っていた男の人の親指を捻っていた。
痛みで顔を歪めて蹲る彼を見下ろすと
「───気安く人のモノに触るな」
苛立ちを含んだ低い声を発した魁さん。
部屋の空気を凍てつかせるその鋭い眼光に、私まで固まってしまった。
───こ、怖い……
久しぶりに本気で怒っている魁さんを間近で見て固まっていれば、自由になった私の左手を引いて、あっという間にその腕の中に閉じ込める。
瞬間、ふわりと香る魁さんの匂いが鼻腔をくすぐって、安心感に包まれた。